三百年以上燃え続けてきた「火様」とは

その昔から岩穴集落の人々の仕事は林業が中心でした。一日の仕事を終えると囲炉裏を囲んで楽しい団欒。囲炉裏で燃える火は「火様」と言って、三百年以上の間一瞬たりとも消すことなく大事に守り続けてきました。

 

岩穴集落の家々は、自分の山から切り出した木材で天井の高い大きくて丈夫な家を作りました。半世紀前までは岩穴集落全戸の囲炉裏で火は燃え続けていて、消えた時は互いにやり取りしていました。

しかし、時代が過ぎるにつれてこの風習は次第に廃れ、絶やさずに守ってきた「火様」も中屋家の囲炉裏で燃える「火様」だけとなりました。

「火様」を守ってきた夫の幸正さんが亡くなってからは、一人残された好子さんが「命の続く限り火様を守ろう」と決めました。寝るときには「休ませてもらうね」と囲炉裏に向かって合掌する。朝が来ると消えないように灰をかぶせておいた種火で薪を燃やす毎日です。しかし、その八十一歳になる好子さんが体の具合を悪くして入院することになり、隣の岩穴家で火を預かることになりました。平成28年5月4日のことです。

中屋家から火を預かった岩穴家の長女の夫で医学博士の森田孝夫さんは何とかしてこの火を将来に残したいと考えました。「古民家で安心安全に火を燃やし続ける」装置を作ることにしたのです。試行錯誤のうえに出来たのがこれ。最長二週間灯し続けることができるオイルランプを特別注文で作り、さらに安全のため薪ストーブの中に設置して燃やすことにしました。又、万が一ランプの火が消えたときのことを考えて、オイルランプを二個設置しました。そして、ネットワークカメラを設置して「火様」を24時間見守っています。

「火様」に関するよくある質問

質問1.  なぜ300年以上にわたって「いろりの火」を守ってこられたのか?

質問2 .  火種が自由に手に入る時代になって、囲炉裏で火を守る意味は何か?

回答1 家の中で焚き火ができる家屋があった

 

回答2 安心安全に燃やし続けるための知恵(知識)と技(技術)があった

 

回答3 24時間365日、家を離れないで生活できた

 

回答4 絶大な家族の協力があった

回答1 屋根裏から外気が入りやすい家屋構造のため、囲炉裏で火を燃やして外気の流入を防ぐ必要があった。

 

回答2 木造茅葺の建築素材を保持するために煙で燻す必要があった。

 

回答3 先祖から受け継いだものを大切に守り、次に伝えるという能登人の気質(精神性)と関係がある。(例)能登ヒバ、

    能登キリシマツツジなど

 

 

岩穴集落では「火様」を囲炉裏のなかで燃える「生活の火」として大切にしてきました。中屋家を最後として囲炉裏の「生活の火」は終わりました。今後は「火様」の種火をオイルランプに灯し、新しい形で継承していきます。そこでその火種に新しい名前を付けることとし、岩穴集落に伝わる火という意味で、「岩穴の火」としました。また、ロゴマークを作成し、商標登録しました。

能登里山クラブ 岩穴

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